弱虫ペダル
弱虫ペダルは自転車競技部という自転車でのレースで熱い勝負を繰り広げる高校生たちの話。レースでの疾走感や迫力、時々はさまれるほんわかギャグ。そしてキャラクターがとにかく個性的で、それぞれに揺るぎない良さがあって、いい!
古賀公貴先輩!
古賀公貴は主人公と同じ学校、同じ部活の一つ年上。
漫画の中で大きくストーリーに絡んでくるのは、一年経った頃。
部活には来るけど、たまに走って自転車いじって。サポート専門の人かなと思っていたら、主人公が二年目の合宿に突然現れ「インターハイには俺が出る!」と言い出します。これは穏やかじゃないねぇと思っていると、実はめっぽう強くて、入学当初はホープと呼ばれ期待されまくりでした。
しかし一年目にインターハイのメンバーとして抜擢され、そのあふれるパワーと先輩へ報いたいという一念から、無理をしすぎてケガを負い、急カーブを曲がり切れずコースからとび出し、自転車から振り落とされる事故(落車)を起こしてしまいます。
「一年半もの時間をふいにした」と古賀公貴は言います。一年半の我慢、その思いも持っての合宿参加、メンバー争奪戦です。この時のヒールっぷりはすごい。漫画の大筋としてもインターハイメンバー(6人)が決まったと思われていたので、古賀公貴の登場は予期していないもの。でも彼だって三年生。最後のインターハイです。
勝負の結果、メンバーを追い落とすことができず、古賀さんは負けてしまいます。一年半ふいにしたといっても練習を積んでいました。それでもさすがのインターハイメンバー。最後の最後相手が強かった。真剣勝負。
そしてこのあとの古賀さんに一気に引き込まれるのです。
一点突破
勝負のついた二人にインターハイメンバーたちが労いに集まります。ほんわかした雰囲気に、意外にもさっぱりとした古賀公貴がいます。彼はメンバー一人一人に激励の言葉をかけます。練習に参加していない日もみんなのことを仲間として見守っていたからこそ出てくる言葉の数々でした。
そして全員に向けて言います。
「最後におまえら!ケガをしろ。そしたらいつでもオレが、代わりにインハイ走ってやる!!」
不敵に笑う古賀公貴。
それはやばいと笑いながら駆け出すメンバーたち。
ひとりになった古賀公貴。
ひとりになり顔を手で覆い、
「ガンバレよ。ケガはするなよ。大丈夫さ。いつでも見て、オレがアドバイスしてやるよ。
オレはケガには詳しいんだ____」
と涙を流すのです。全身にぐぐぐぐと力が入ってしまう瞬間です。なんて優しくて強い人なんだろう、と思う瞬間です。
ここで特に感じ入る点は、
〝ケガをしろ〟は冗談で、100%の思いやり(主人公だけは言葉の本当の意味に対して無意識にも「はい!気をつけます!」と答えている)であり、〝代わりにインハイ走ってやる〟は100%の願望だということです。三年目ってそういうものだよねって思う。
涙が出るほど悔しくて、でもケガした選手がいたら自らの経験から全力でサポートしてやりたいと思うほどに優しい。ぐぐぐぐ
と残念ながら古賀公貴は選手としてインターハイに出ることはなくなりましたが、このあとサポーターとしてたくさん活躍する場面があります。一年目で落車してしまうほどの先輩思いの一面は、そのまま仲間思い、後輩思いに繋がっていく誠実でかっこいい人です。
余談
アニメ版のエンディングでの一枚絵について
古賀公貴がインターハイのコースを練習用ジャージで走っている絵があります。 大会前、古賀公貴は選手が快適に勝負ができるように、予定されたコースを一人で走破しビデオカメラに収める、という離れ業をなします。
ですが、このエンディングではレースで使用するサポートカーがあり、顧問やマネージャー、はたまたサポートを手伝いに来たマネージャーの友人までいることから、きっとインターハイ本戦での出来事だと思う。開始前か終了後かわからないけれど、だいぶ闇深く……
直前のコース状況を知りたいとかだったら、サポートに徹する古賀公貴のあふれ出る仲間思いだと思いますが、レース終了後に練習着でインハイコース走るとか……そんなん考えたくな……………………
おわり
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