名門熊本台一高校 田浦良昭(弱虫ペダル)

 今回は弱虫ペダルから田浦良昭さん。肥後の超特急、肥後もっこすと愛郷心たっぷりに叫ぶ田浦さんはなかなか濃い目の九州男児。
 弱虫ペダルにはストーリーを賑やかにしてくれるキャラクターが何人も出てきますが、それぞれに味のあるキャラクターが多くて楽しませてくれる。その中でちょこちょこ出てきてその存在感を残していくキャラクターの一人が田浦さんです。

 彼は名門熊本台一高校。そこで主将を務める実力者で、がっしりとした体格と色黒さだけでも努力を積み重ねてきたんだろうとわかってもらえるはず。しかも大そうな仲間想いで、一年ながら大会メンバーに選ばれたもののケガをしたまま走る藤原を励ましながら走る姿は良き主将の姿です。


熊台インターハイ三日目

 熊台にとってむごたらしいインハイ三日目です。
 熊台に三日目残っていたのは田浦、井瀬、藤原の三人。田浦はケガをした藤原を引っぱりレースを走っていると、後ろから追いかけてくる大集団に飲み込まれてしまう。自転車競技は集団であればあるほど速度が上がり、策略として広島呉南工業(呉南)がばらけた複数の学校の選手をたばねて一つにした集団でした。田浦はまずは藤原を心配して、ケガ人はどうすると詰め寄りますが呉南の口達者さに懐柔されます。
 しかし全てが策略。呉南の選手は自分たちばかり楽をして、ほどほどのところまできたら、裏切る作戦でした。 しかし田浦はそれを信じません。離れていく呉南の選手は田浦達を侮辱する言葉をあびせていってしまいます。それでも田浦さんはそんなはずない、と呉南を信じようとします。
 しかしチームメイト井瀬の言葉で真実を直視せざるをえず、涙を流して現状を受け止めるのです。


田浦良昭

 田浦さんは元気で明るく仲間想い、集団に飲み込まれてくる他校の選手にも、みんなで心一つに協力して先頭ところまでいこうっ、と肩をたたきながら笑顔で話しかけます。
 加えて、ことあるごとに叫ぶ〝もっこす〟や〝名門熊台〟、〝肥後の~〟と自身の生まれに対する熱いおもい。
 策略により裏切られ涙を流すことになったとき、それはただの悲しみや途方感だったか。それよりも地元や学校に対して顔を向けられないと、恥じ入る気持ちからだったのではないかと思わせます。集団の目的を聞いても、まずケガをしているチームメイトを心配したり、その場限りの結束だとしても他選手の不安を払拭してあげようとしたり。いい奴です。
 しかしやはりレースなので、強い勝気なしでよくここまで戦い続けてこれたなとも思う。田浦は九州人として、や名門としての誇りやチームへの思いで戦ってきた人なんだろうなぁ。
 そして自転車すごい好きなんだろうなぁとも同時に思いながら……→


劇場版 熊本火の国やまなみレース

 インターハイが終わってほどなくしたころ、熊本が主催するレースが開催される。そこで実は熊台のエースがケガをしていて、インハイに出場していなかったことが明らかになる。

 熊本についた選手達にわざわざあいさつをしに空港に現れる田浦さん。笑顔、元気も相変わらず。そこで紹介されるのがエース〝炎のクライマー〟吉本進。彼はレースが楽しみだ、勝気な態度で、田浦さんにないものを彼が補ってくれているんだなあと思ったりします。
 レース中吉本進が指揮をとり、田浦さんをチームの戦略のためいさめたりします。それに真面目に楽しそうに従う田浦。吉本ワントップのチームに見えるが、二日目のレースではまた違う。
 二日目に仕方なくチームをとび出すことになってしまった吉本と田浦の二人。この時吉本が〝熊本台一吉本・田浦が相手たい!〟と叫びます。これを聞くとちゃんと吉本進も田浦さんを信頼してるんだなぁと思う。
 ここで二人は、互いの名前を呼び合いながらの息の合ったコンビプレイを見せ、それは短いですがとても見応えがあります。
 勝負には出ましたが、そこで足を使い切り、全てを絞り尽くし二人は足を止めます。


一点突破

 そしてこのシーンの田浦さんがめちゃくちゃかかっこいい。
尋常でない汗を流しながら何もかもを出し尽くし、大きく口を開いて酸素をできるだけ……と呼吸する田浦さん。敗者のシーンではあるものの、しかし、インハイであんな目にまで遭って、よくここまで自分を追い込めるほど走れるな、と。よくそこまで自転車を好きでいられるな、と思うわけです。いやぁかっこいい。

 吉本ワントップのチームにも見えるという部分。
 これはチーム想い部員想いの田浦さんはインハイに出られなかった吉本進に花を持たせたかったのかなとも思います。三年最後のインハイをケガで欠場って、やるせないくらい辛いものです。そして嬉しそうに楽しそうに走っている田浦さんを見て、レースで一緒に走れてよかったね、と二人にいいたい。


余談

 二年目のインハイで熊台が登場したときにつけているゼッケンが80番台でした。これは基本的には前回大会でチーム順位が9位だったということ。(前回2位の箱根学園が10番台)
 エース不在、呉南に裏切られ、しかも残った三人のうち一人がケガをしている状況で、インターハイチーム9位。これは十分な成果だと思います。さすが名門熊台!田浦さんよく頑張った!

おわり

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