物語の構成力(Occultic;Nine)

 A-1 Pictures制作のアニメを見ようっ、とたまたま見かけたのにめちゃめちゃ面白かった。びっくりした。と思ったら、原作はシュタインズ・ゲート(STEINS;GATE)でも名前を連ねる志倉千代丸さん。監督は「四月は君の嘘」のイシグロキョウヘイさん。そして丸っこくてかわいらしいキャラクターばかり、原作イラストpakoという。個人的なんじゃこりゃと驚くような人たちが集結していた。でもちょっとグロイ。


Occultic;Nine(オカルティックナイン)

 主人公はブログの更新だけで生計を立て、ダラダラ生きていきたい自称ニート神。そのブログ「キリキリバサラ」という、オカルトを「バッサリと斬り斬りしちゃう」まとめブログの運営のため、オカルトを肯定する科学教授の元へ突撃取材に向かう。雨の中、着いてみると真っ暗な部屋、軽率にも勝手に中に入り、誰もいない部屋にあったナイフを振り回して遊んでしまう。振り回したナイフが机のライトにぶつかり床に落ちる。電源が入り照らしだされたのは、教授の死体。主人公は大きな事件に巻き込まれていく。


一点突破

 このアニメのすごいところって、テンポ感。
 明らかに他のアニメよりキャラクターの喋る速度が速く文字数が多い。疾走感ともいえる速度で物語がぎゅっと詰まっていて、それに合った音楽が流れて、ってそりゃ見ていて気持ちが良くなる。
 これはこれで意図かしら。
 心理学では早口と説得力がとても強い関係があるといわれている。このアニメのオカルトと科学という性質上、ただのB級として作ってしまうとしらけちゃう部分がある。
 でもこのアニメはたたみかける物語の展開と個性的なキャラクター達の早セリフのおかげか、納得とまでいくかはわからないけれど(というより速度についていけるだけの理解力がないぜ)全然しらけることなんかなく物語は進んでいく。すごい。

 と加えて、
 このアニメに出てくる主要の女性キャラクターがみんなかわいい。キャラクタ―デザインの描き分けもあるんだけれど、みんな立ち位置がバラバラで距離がある。そして物語の構成に一人一人しっかり組み込まれていて、それぞれに目指す方向と意志が見える。良いキャラクターばかり。

成沢 稜歌
 主人公の1学年下。天真爛漫、突然歌ったり踊ったりとはっちゃけながらブログの運営を手伝う。しかし実は霊媒体質でそれが物語を動かす重要な鍵となる。乳がでかい。

相川 実優羽
 主人公と同じ学校に通う。タロットのようなカードとビジョンを見る能力で占いの動画配信をしている。自分自身へ能力を使用した結果、主人公に助力することに。自分を支えてくれていた友人の消息を追う。苦難のヒロイン。

澄風 桐子
 オカルト雑誌の記者。フレンドリーでさばさば、登場人物たちのバランスをとりながら最年長として貴重な意見を混ぜ込み、物語は発展していく。おでこがちらちらする。

紅ノ 亞里亞(水無瀬 莉愛)
 ゴスロリ服に身を包む極度のブラコン。しかし兄は亡くなっており、その時自殺しようとしたが、霊に助けられた。その霊と手を組み、黒魔術代行をしている。お人形さん。

西園 梨々花
 謎のBL漫画家。ミステリアスな魅力。彼女の描いた漫画が物語を探るための鍵となる。艶めかしい。

鬼崎 あすな
 女子高生でFBI捜査官。サイコメトリー(手で触れることで対象の情報を見る能力)で物語の核心に迫る手伝いをする。能力の使用は消耗が激しいようで、自己犠牲の精神が強く、亡くなった先輩への弔いの様相がとてもいい。手ぶくろに肉球。

と、
 とっても映え映えとしたキャラクター達なのです。これに特徴的な男キャラクターが加わって物語が構成される。なんと面白い。


余談

 理解よ追いつけ追い越せ、と言い聞かせなきゃならないような早セリフにめくるめく展開を楽しめるのは巧みな声優さんたちの力が大きく寄与しているところでしょう。
 素晴らしきかな声優さん。
 おかま口調の津田健次郎さんもおりまして、よきかな。
 原作のライトノベル、三巻で止まってますよね?アニメは終わりまで見ましたが、原作の終わりも見届けたいのです。こっそり出てたりしないですかね?

おわり

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