文学

キャラやストーリー

元牧師の追求、チャールズ・ジェイコブス(心霊電流)

 牧師として町にやってきたチャールズ・ジェイコブス。人当たりもよく、敬虔でもあるジェイコブスは、美しい妻と可愛らしい息子とともに、人気者となり町の信者たちにとって申し分ない牧師として受け入れられていました。ジェイコブスは趣味である電気の研...
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悲しき過敏、ハンス・ギーベンラート(車輪の下)

ヘルマン・ヘッセ  本を読んで一番共感が湧いて、良い本を書く作家だと思えるのは、その人が自由を愛していることであります。それを強く感じられた作家の一人がヘルマン・ヘッセ。ノーベル文学賞までとって素晴らしい作家なのは全世界が認めるとこ...
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老齢のバディ、数正と鬼作左(徳川家康)

 山岡荘八の描く「徳川家康」 歴史小説ではあるけれど、物語として質が良くて、特にいくつもの選択肢がある場面(歴史的にどう捉えるかいくつかの憶測があるような場面)で一番ドラマチックで、人間というもののいい面を描こうとしている、と思わせてくれ...
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〝どちらか〟である必要に追われない、ヨナ(転落・追放と王国)

ノーベル文学賞受賞の文豪、カミュの作品の中で一番好きな短編「ヨナ」なのです。 「ヨナ」のあらすじ  画家のヨナは、その実力でもって生活を手に入れた。そこに至るまでの道のりにも彼は幸運ばかりを感じていた。両親が自分に無関心だった...
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〝気立て〟という器、ルート(博士の愛した数式)

 日本の作家の中で特に好きな、小川洋子さん。この人の書く物語の素朴さ。 不思議な世界が目の間に広がっていても、劇的な場面でも、ひどい苦渋に陥っても、余分な飾り気がない。読書という体験が日常にふんわりと重なり合ってくれる。そうして文字を読み...
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精神的向上心に対する覚悟、K(こころ)

こころ  文学の世界でこれまで長く、そしてこれからもずっと揺るぎない存在感が確かである作品。広く知られた話で、教科書に入っていたと思います。 あまりにも有名で解説やらなんやらともう数限りなくありますし、それが目に入ると〝ほぇ~〟とい...