白猫プロジェクト
スマホゲームではなかなかみれない本格的なアクションゲーム。操作性もよく、魅力的なキャラクターが多い。特にそんなキャラクター達がおりなすストーリーは、感動ありギャグありシリアスあり、それらのごちゃ混ぜあり、とわちゃわちゃ楽しいゲーム。(課金は計画的に!)
水月鏡花~饗宴討鬼譚~
ギルドからの依頼で魔物討伐に出向こうとしていた主人公たちの前にひどく酔っぱらった女性が一人現れた。みんながどうしたものかと思っていると、あとから現れた男性が、所持していた水を飲ませ正気に戻します。二人はシズクとイサミという名で〝鬼退治の一族〟でした。主人公一行の討伐対象が一族の怨敵であったことからその討伐に参加すべく主人公を訪ねてきたのでした。
序盤はギャグも多く、桃太郎の話をオマージュして〝いもけんぴ〟でモンスターを仲間にしてから向かおうとしたり、楽しく話は進みます。鬼との決戦もスピード感のある展開で二人は一族の宿願を果たすのでした。 そしてここで終わると思いきや、続きの過去話が。
二人の生まれた〝鬼退治〟の一族はこのシズクとイサミの二人を残して、怨敵だった鬼に滅ぼされていた。 仇討ちの念も持って、鬼のボスのところにやっと辿りついたシズクとイサミは、一族に伝わる〝鬼にとってのみ毒となる酒〟を飲ませようと近づきます。二人は一族をおとしめ、心にもない事を口にしながら〝杯を交わしたいが、毒見をかねて〟と先に杯を干します。すると苦しむシズクとイサミ。鬼は酒に口をつけず、奇妙に笑い出すばかり。「かかったな」と、鬼はいずれこういうこともあろうかと一族の祖先と交わりをもち、鬼の血を鬼退治の一族に混ぜておいたのだ、といいます。
そんな馬鹿なと狼狽する二人に鬼は追い打ちとして〝酩酊素面反転の呪い〟というものまでかけた。これによって二人は、〝鬼にとってのみ毒となる酒〟を定期的に飲まないと、酔っ払うようになってしまった。
暗い暗い過去。
イサミ・エンジュ
呪いをかけられ生き残った二人。それも誇りであった一族の血脈への穢れすら知らされ。よくそこから立ち直りまた鬼を打ち倒そうと思えたものです。その気高さには頭が下がります。
イサミは強い男です。努力を怠らず、慢心がない。シズクが宗家、イサミは分家という境遇にも、そこにこそ誇りがあるといわんばかりの、分別と気骨もちあわせています。トラブル多発な呪いまで受けていても、むしろ失態をおかすほどに次に立つときの両足にはより強い力が込められています。
そして一族の唯一の生き残りの分家として、誇りは宗家に向きます。元々幼馴染であり、修行仲間であり、妹のように接してきた宗家唯一の生き残りであるシズク。そこに恋愛感情はあるのか……そこは、なくはない、というほどしか書かれませんが、何より分家であるという誇りがその〝考えがよぎる〟程度も許してはくれないようです。なんとも愛らしい意固地さとかっこよさを合わせ持つ男です。
一点突破
好きなシーンがあります。
イサミは心配から、素面に戻るための酒をシズクにはできるだけ口にしてほしくないと考えています。鬼の血が混じる二人にはその酒は毒として作用してしまうからです。そのために酔っぱらったシズクを寝かしつけて、自分一人で毒である酒を飲み戦うこともあるようです。
そしてある日、日常の中で酔っ払い状態になってしまったシズクに酒を渡したところ、シズクが必要以上にがぶがぶと飲んでしまいます。その時、イサミが「もういい、十分だ!」と語気を荒げ、酒をひったくる、という場面があります。この時のイサミは分家としての分別を超えてシズクを慮る、とてもいいシーンだと思います。
〝コンクリート頭モンスター〟
これはシズクからイサミへの放言です。シズクが酔っぱらったある日、イサミに〝頭が固すぎる!〟と、もう我慢ならんとばかりに〝この朴念仁。クソ真面目オールスターズ。コンクリート頭モンスター〟と言い放ちます。シズクにも長く一緒にいるのに態度の変わらないイサミに思うところがあるようです。
イサミはその後再登場もありました。呪いは消えてはいませんが、精神を鍛えることで酒を飲まずに素面でいられる鍛錬を行っている、ということでした。かっこいい。
それにしても二人にはあまり進展がない…… いやー、続きがみたい!
余談
イサミとシズクの苗字であるエンジュ、これなんだろなと調べたところ、植物でした。中国が原産で漢字で、木へんに鬼で〝槐(エンジュ)〟と書くそうです。なんと粋な名前であるのかと。そして花言葉としては〝幸福〟と、その姿と咲かせる美しい白い花から〝上品〟とがつけられています。なんとふさわしいのでしょう。
これからもっともっと幸福に!
おわり
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